花咲いたブタちゃん走り ●マンガ・アニメの感想・考察・レビュー●

毒舌・批判・絶賛あり。作者さんの意図とか考えを想像するのが好・き!

内田春菊「私たちは繁殖している」「ほんとに建つのかな」「お前の母ちゃんbitch!」 感想

昨日は一日、内田春菊さんの「私たちは繁殖している」を読んでいました。

(1~11巻、と「ほんとに建つのかな」と「おまえの母ちゃんbitch!」)

 

 

ほんとに建つのかな

ほんとに建つのかな

 

 

お前の母ちゃんBitch!

お前の母ちゃんBitch!

 

 

まず、前提として、非常に面白かったです。

 

しかし感想としてとにかく一番思ったのは、この人、一回得た怒りに関しては、何回も何回も吐き出さないと済まないんだなと。

特に元夫の父親や、自身の養父への愚痴は、手を変え品を変え、3~5回ずつは愚痴ってます。

感想コメントとかを読んでみると、「愚痴ばっかり」「もういい加減にしてほしい」みたいなコメントが多かったですが、(私も作品としてはもっと控えたほうがいいんじゃないか、とは思いますが)こういうブレない怒りを持った人は、私はとても好きです。それだけ、生き方にこだわりがあり、自分はそうならないように、と戒めているということですから。

 

しかし、宜しくないなあと思うところが二点。

 

一点は、語弊のある描き方をしている時があること。特に、後半に発生した元夫への愚痴。

「息子の前で私が浮気したことを話した」というエピソードがあり、私も、「息子の前は良くないな」と思いましたが、他の本では「私の浮気について話し合っているところに息子が来た」ということなので、ちょっとニュアンス違うんじゃないかと。

 

また、他にも「私の留守中に、知らない女を家に連れ込んでいた」という表現がありましたが、こちらも「家で同性の友人と飲んでいた時に、その友人の友人である女性が近くに住んでいたので、家に呼んで一緒に飲むことになった。しかも事前に連絡はした。」ということだったので、「知らない女を連れ込んでいた」だなんて、ずいぶん誤解を招く表現じゃないですか。

 

最終的にその元夫との別居に至る理由は「元夫が、私の浮気を妄想してあることないこと、ねちねちと嫌味や監視をし続けてきた」ことなのですが、

私もはじめは「それはひどいな~」と思っていましたが、実際にはその前に浮気はしていたということで…。

そ、それはねちねち言われるんじゃないの…?とちょっと思ってしまう。

 

元夫の父親がセクハラがひどかった話も、いや本当にひどいですよ。それを元夫に相談したときに元夫が「うちの父親は女性に免疫ないんだから、あまり刺激させないでよ」と言った話。

それで作者は「その理屈は、ミニスカートをはいていたのだから痴漢されても仕方ない、と言うのと同じ」と怒っていました。

しかし、その発端は、作者が、授乳中の我が子がその義父に似た顔だったことから、「おっぱいあげてるとき、お義父さんにあげてるみたいですよ」なんていう、すごく反応の難しい発言をしたからなんですよ。それは挑発してると言われても仕方ない発言なんじゃないかな~…。

 

こんなところが一点。

もう一点は、「人のことを悪く言うわりには、じゃあどうしたらいいか」については触れていない点。

 

内田さんが仲良くされている心理学者で香山リカさんや齋藤学さんが挙げられていましたが、彼らも(齋藤さんはちょっと違うかな)、「こういう人は○○障害」とか「そもそも○○な思考しかできない人」なんていうラベリングはするのですが、

「じゃあどうしたらいいんだよ」ということには触れないんですよね。「こういう人いますよね~~~嫌ですよね~~~自分で自分の株を下げてるって、わかんないのかな?」という、女の悪口大会にありがちな発展しかしないわけです。

 

とはいっても、結局私も女ですので、そういう愚痴は読んでて「え~~そんな人いるんだ~~やだー」って感じで、苦痛ではないんですよね。

 

 

ともあれ、自身での正悪にはしっかりとした作家さんです。こういった作家さんがいることによって、読者として我々は自分の価値基準を見直すことができるので、ボーっと、馴染みの友人と生産性のない会話を楽しむ感じで、読むといいなあ、という感想を持ちました。