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「インベスターZ」「島耕作」と比較した「いちえふ」の演出の下手さ モーニング47号 10/23日発売号 感想

「インベスターZ」「島耕作」と比較した「いちえふ」の演出の下手さ

(モーニング47号 10/23日発売号 感想)

 

「いちえふ」を読んでいたら、思うところがあったので簡単に考察します。
コマ割やセリフ量から考える、「漫画としてのわかりやすさ」についてです。
ぶっちゃけ、「いちえふ」はかなり読みにくい。

 


■「いちえふ」で「お馴染みのAPD」と言われても…

 

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)

 

 

震災後の福島第一原子力発電所にて働く人々・その実態を描くルポ漫画「いちえふ」。
今週は、作者が様々なインタビューを受けてきた中で、いろんな記者がいたーという内容です。

その中で「APDって何ですか?と質問してくる記者がいてビックリした」という箇所があります。APDとは、個人の被曝量を計る機器で、原発作業員の必須アイテム。「原発関連の記者にしては勉強不足すぎる。そもそも漫画内でも何回も書いてるんだから、ちゃんと読んでこいよ」と、作者は1/2ページ使って怒るわけです。「ご愛読してくださっている読者様にはお馴染みのAPD…」という解説が入りますが、

 

いや、私も知らなかったわ…

 

初掲載時から毎回ちゃんと読んでるけど、全然知らなかった…
というか、覚えてなかった(ー_ー)


で、もともと思ってたんですが、この漫画すごく読みにくいんですよ!!

 


■「いちえふ」読みにくいよ!

 

まず説明セリフが多すぎる!というか、説明がすべて文字!派遣や下請けの構造や、原発作業員のルールなど…

小説的にうまく読ませてくれる文章ならまだしも、そうでもない。それがひとつのふきだしに5行とかザラ。


事実に基づいたルポだから意識的に過剰描写しないようにしているんだろうけど、内容がそもそも複雑なんだから、わかりやすく書いてくれよ、と思う。人物もみんなオジチャンなのはわかるけど、仲間なのか、別部署なのか、雇用会社の人なのかとか、人間関係も一目でわからん。表情も愛想笑なのかひきつり笑なのか戸惑ってるのかとか、全部一緒なんだもん。


情報過多な題材だから、日記漫画じゃなくてもっと読者に説明する視点を強化してほしいな。1話1話で伝えることをもっと減らしていいんじゃないでしょうか。


モーニングでは、「いちえふ」を「100年後も読まれる可能性のある漫画」「そうしたい」と思っているとのことなので、そのへんをもっと気使って欲しい。真面目に読んでてさっぱり内容が入ってこないっす。

 

■「インベスターZ」は「複雑なことをシンプルに伝える」のがめちゃくちゃ巧い

 

インベスターZ(1) (モーニング KC)

インベスターZ(1) (モーニング KC)

 

 ※「ドラゴン桜」の作者が描く、高校生の投資マンガ。

 

そこらへん、「インベスターZ」はうまいよな、と。

今回は“第二次世界大戦において、アメリカ軍が日本軍に勝てた理由”を説明する、ややこしい回だったわけですが。

「ビジネスマンと官僚の戦いだった」とか、実際にビジネスマンと官僚がトランプ勝負をしている絵があったりとか、比喩や表現にしっかりとコマをさいて、かつ言葉も余計な部分を削ぎ落としているから理解しやすい。パラパラ読みしても理解できます。毎回大したものだなーと思います。

 

■「島耕作」も説明漫画だけど、読者ターゲット的にOK

 

会長 島耕作(1) (モーニング KC)

会長 島耕作(1) (モーニング KC)

 

 

漫画はこうじゃないとね…と思いましたが、「島耕作」。
正直、セリフが説明でうめられている漫画です。今回はマグロの養殖の現状についてでした。パラパラ読みではとても理解できません。

まあ、でも、島耕作はそういう立ち位置の漫画なのでいいかと思いました。時事ネタや最前線を説明する漫画だし、その事実を吸収したいというのが「島耕作」の読者。新聞やビジネス誌ではなく創作ゆえに逆に実態に近いものが描ける。読み物としては、新聞やビジネス誌に近い立ち位置です。

 

■余談

「鬼灯の冷徹」もセリフ多すぎで、読み飛ばしました。暇な時はじっくり読みます。この漫画は、ヒマつぶし枠な位置づけなので、それでいいかと思います。

(読んだことないけど「銀魂」とかもそういうポジションなんでしょうね。「絶望先生」とかもそのポジションだと思います)

 

■「いちえふ」はターゲット層を幅広くしたい?

しかし、「いちえふ」は、フィルタが多く実態が空想されがちな“原発の現場のリアル”を「いやいや、こんなもんです。普通ですよ。変な偏見しなくて大丈夫ですよ」と伝えたいわけじゃあないですか。それも“広く多くの人に”。

だとしたら、広く多くの人にとって読みやすい、手軽に手にとりやすい見せ方を、工夫したほうが良いかと思います。

 

このへんはコマ割や構図、セリフの作り方などの「マンガの演出テクニック」になります。「いちえふ」作者は、おそらく漫画を描くのが初めてくらいだと思うのであまりこの点を責めたら可哀想かもしれません。でもモーニング編集部はこの漫画を「100年後にも読まれている漫画」にしたいのであれば編集部として指導すべきだと思います。

 

■まとめ

いや~~ほんと読みにくいんですよ「いちえふ」…。
内容を判断する以前に内容が頭に入ってこない、でも興味あるから一生懸命読む、みたいな感じです。いっそ挿絵多めの文章のほうが良いのでは…とさえ思う。

コマにぱんぱんにセリフを絵を入れるから、拡がりが見えず非常に窮屈な印象を与えると思います。初掲載の時に思い悩んだ私は、「どうやったら読みやすくなるのか」自分で「いちえふ」を書きなおそうかな、と思ったくらいですよ笑