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花咲いたブタちゃん走り ●マンガ・アニメの感想・考察・レビュー●

毒舌・批判・絶賛あり。作者さんの意図とか考えを想像するのが好・き!

ナルト引き延ばしすぎ問題から考える、ハンターハンター休みすぎ問題(休載の擁護になっちゃってる)

ハンターハンター 冨樫義博 マンガ
ナルト引き延ばしすぎ問題から考える、ハンターハンター休みすぎ問題

 

 

 15年連載してて、まだ、32巻なのかよ…。

 

■実はジャンプも冨樫も正しかったのかもな、と最近思ったという話
実は私は10年以上、集英社のジャンプの方針に反対していました。
引き延ばしたり、すぐさま打ち切ったりして、どうすんだよ。
商業の鬼かよと。
金儲けだけかよと。
 
でもとある漫画レビューブログさんの記事を見て、なるほどと思った。
(勝手にリンク貼れないので、「漫画新人賞」「狙い目」で検索してみてください。)
 
要は、「ちゃんと調べてみると、ジャンプ以外のマガジンとかサンデーって、大御所がずっとのさばってる。新人へのチャンスを考えたら、ジャンプが一番新陳代謝良いじゃん。」という内容だったんですよ。
 
確かにそうだなと。
 
ワンピースやナルトやブリーチが引き延ばしすぎでよく話題に上がるから、そうとしか思ってなかったけど、他雑誌連載陣のほうが、よほど引き延ばしというか…マンネリ化してるじゃんと。
 
 
週刊連載の闇に飲まれたナルトの作者
ナルトも読まず嫌いだったのですが、実際読んでみると、1部は手が止まらないくらい面白かった。(ワンピースとブリーチは無理だったけど)
でも2部になるとクオリティがガクンと落ちており、「これは…作者は週刊連載の闇に飲まれてしまったのだ…」と思った。
 
私は前のナルト感想記事にて、2部について厳しめに批判しましたけど、これ…作者のせいではないと思います。むしろ、精神的な病を感じさせるほどの支離滅裂さに、週刊連載のキツさが滲みでており、おそれおののいた。
 
何がヒドイって下記ですよ。
 
●無意味なエピソード(先のこと何も考えられてない)
●とにかく登場する新キャラ(話を動かすことの後倒し)
●無意味すぎるコマ(小さいほうがむしろ効果的なコマを、あえて大きめのコマにしており、明らかなページ稼ぎ)
●ひどすぎるセリフまわし(作者バカなのか、ってより、精神的にマズいんじゃないのかとすら思った。編集は何やってんだ)
●何やってるのかよくわからないコマ(絵…うまいのに…人の線なのか背景の線なのかわからなくなる…たまに…)
 
 
絵も何か…目が死んだようになっていっており…。
1部も見るに、この作者は天性の漫画描きってよりは、扉絵(静止画)重視の人なので、ストーリーとか演出は相当努力でカバーしている感じだと思うんですよ。
1部は初連載だし、温めていたアイディアもたくさんあって、ちゃんと思い描いた通りの世界を演出できたんでしょうね。
2部になって、「ひき伸ばせよ!」と編集部に言われ、後先考えず、無駄にエピソードを詰め込み…、でも破たんはさせたくなくて…ああでも…わかんなくなってきた…。みたいになっていってしまったんじゃないかと思います。
 
 
冨樫義博は断固、週間連載を断った
それに対してハンターハンターですが、冨樫義博は「扉絵重視」というよりは「マンガ重視」だったので、ゆうゆう白書序盤のオムニバス短編からもわかるとおり、起承転結でまとめるのがもともと上手です。
絵についても、写実的なものより、ストーリーと絵を連動させることのほうが好きな感じがしますね。(止まった人物絵も好きだけど、カラーが下手なことから、えんぴつでひたすら漫画を描いてきたのだと思われる。そういった「絵」よりバトルの迫力やホラーな演出などのほうに凝ってきた感じ)
 
で、編集部による引き延ばしは、ゆうゆう白書も受けてはいましたが、すっごく堅くなに断り続けたんでしょうね。ドラゴンボール、ワンピース、ナルトの作者はそれぞれ真面目で責任感が強いんでしょう。冨樫義博も真面目で責任感があると思います。しかしそれ以上に、本当に根が怠け者だから、辛すぎて物理的に無理だったのだと思います。
 
この「働かなくてもいいのに働けと言われる」「しかも大好きな漫画を描けず、いやいや引き延ばしさせられる」という二重の苦しみが耐えがたいことは、想像できると思います。私なら絶対無理です。今の仕事すら、ちょっと手抜いたりしてるんで…。毎朝ギリギリまで寝るし…。
 
なんでほとんどの「凡人」は、週間連載のキツさに心身ともにやられ、打ち切りになった瞬間むしろ「ラッキー!!」と思っている人すらいると思います。
そして、それでスター街道は終了です。そのあと月刊誌などで連載を持てる人もいるかもしれませんが、プロに求められるのは、「面白い漫画が描ける」だけじゃなく、「締切を守りつつクオリティを保ち続ける」ことなのです。
 
そこでいくと、冨樫はプロじゃないじゃん、ということになりますが、そういう意味ではプロではないと思います。しかし、これが冨樫が天才たるゆえんなんですよ。だって、めちゃくちゃ面白いもん。そして、ドラゴンボール、ワンピース、ナルトの作者は、プロだと思いますよ。
 
 
■で、もう描きたくないのに求められる冨樫。
まあ、描きたくないと言いつつ、同人誌とかは描いちゃう。漫画描くの好きなんだもん。しかも、自分がかく漫画はそこらへんの漫画よりめちゃくちゃ面白い、という自尊心もある。だから、ジャンプ編集部に「描いて~~~~!!!!」って言われたら、「…描かんでもない…」という気持ちになっちゃう。
 
だからはじめたハンターハンター
1巻のコメントにもある。「頑張ります」…と。
でもやっぱり週間連載はキツイ。
しかも温めていた分はだいたい描いちゃったから、また充電期間ほしくなっちゃった。
 
 
■休載することで保たれるクオリティ
ハンターハンターは、見事としか言いようのない作品です。
大枠のストーリーと、キャラクター一人一人の人間性が表れる言動、世界観、全てが一切の無駄なく重なり、むしろ全ての要素が、これ以上ない、という形で収斂していく。
 
正直、無駄なエピソード、セリフ、コマ、キャラクターは一つもないと感じます。「動き全てが罠だぜ」というキルアのセリフは、まさに冨樫のセリフそのもの。
(キルアとかクラピカとか、頭いいキャラやするどいキャラがお気に入りなんでしょうが、それは自分で自分の好きな、頭の良い部分が反映されているからでしょう。団長やヒソカのようなミステリアスかつ変態的な人物を生き生きと描けるのも、自分自身がそうだから。非常に自己愛的で露悪的な作者です。そこが良いのですが。)
 
対して、ナルトで言えば、半分以上が無駄なエピソード、セリフ、コマ、キャラクターと言っても過言ではないでしょう。1部で言ったら3分の1くらいかな。無駄なのは。2部で言えば7割が無駄です。
 
 
でも、ずっと週間でやってて、しかも嫌々描かされていたら、そうなっても仕方ないんです。
冨樫義博は、冨樫スタイルでしか描けない人間。ゆえに、休載が多い。でもその間しっかり考えて作ってる。だから面白い。
 
 
一種、休載することで「引き延ばし」せずとも、15年間ジャンプの看板でいられる。ナルトのような作品があるからできることではありますが、それも一つの「雑誌を背負う形」なのかと思います。
 
擁護しすぎかもしんないけど。
 
 
 
でも事実、私なんかはワンピースもナルトもブリーチも全然読まないわけで。5巻くらいまで読んでも、「50巻以上あんのか…」と思うともう読む気しない。だからハンターハンターに焦らされるくらいでいいのかもしれない。だってハンターハンターほど面白い漫画ほとんどないもん。
 
休むことで雑誌の看板に長期で居続け、作品のクオリティも保てるのであれば、いいんじゃないのかな~。甘いかな~。でも他の漫画家じゃ、休載しまくってもあれだけ面白い漫画描けないしな。