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進撃の巨人15巻 感想 覚悟ある決断というテーマ、リスクを背負った革命の動機

進撃の巨人15巻 感想

 

進撃の巨人(15) (講談社コミックス)

進撃の巨人(15) (講談社コミックス)

 

 

●はじめに

ついに発売されました!今回はほぼ別マガを読んでしまっていたので、衝撃はあまりなかったですが、ザックレー総統による、エルヴィンの動機の解釈などが面白い巻でした。
14巻から「体制編」に入って、これまでの派手で疾走感のあるストーリーから一転、重厚な政治的展開に入ったので、短期的に見れば失速とも受け取れる状態でしたが、15巻であっさり終わりましたね。体制編。
(ストーリー上重要なんですけどね。でもここをダラダラやらないところが流石です)
 
早速最終章である「真実解明編」に突入しました。エレンが巨人になった経緯も明かされ、物語は衝撃のクライマックスへ、という感じですね。もう5山くらいありそうですが。
 
 
●「決断する覚悟」というテーマについて書きます
15巻では、これまでも何度も表現されていた、この作品の大きなテーマ「決断する覚悟」が鮮明な巻でした。
むしろ、これからは個々人がじっくりと考える暇などないでしょうから、各キャラクターの動機を確認させる溜め回でもありました。
 
このテーマ性について以下、書こうと思います。

 

●「決断する覚悟」というのは、現状維持を打破する革命
これまでは、アルミンが「決断できる人は、何かを捨てることが出来る人だ」と気づいており、そしてそれをエルヴィンが体現する形でこのテーマは表現されてきました。
 
「何かを決断するということは、何かを捨てること」というテーマは、非常に耳の痛い話です。おそらくほとんどの人が、「現状維持」という一見現実的な選択をしています。それは至極真っ当な選択でもあります。
 
しかし、世の中も人も環境も地球も常に変化していくもの。その変化の中で完全な現状維持などは出来るはずもありません。一見できているかのような現状維持は、実は「緩やかな降下」であることがほとんどです。
その緩やかな降下を、「見ないフリ」することもまたよくある話ですが、大きなリスクが二つあります。①急転直下の出来事が起きた時、対応できなくなること。②放っておくと取り返しのつかないことになる。
 
どちらにしても、どこかで手を打たなければいけなくなるわけです。
 
偉そうに書いてますが…、私の人生や仕事もそんなとこですよ。「このままじゃあ、いかん…いかん…」と思っておるのですが、緊急度自体は高くないため、まあ明日でいっか…を繰り返してしまう。そうして気づくと2年とか経ってるんですよ…。
 
今の日本の政策もそうですね。あー、頭が痛くなる…。
 
 
そんな状況を打破できるのは、「今!ここで変えよう!」という革命なわけです!
 
 
●革命、革新、変化…は常に何が正しいのかわからないもの
しかし、革命はハイリスク、ハイリターン。それこそ、失敗したらすぐ様「取り返しのつかない状態」に晒されるわけです。しかも大変です。成功するかは五分五分。そりゃあ、「だったらいったん現状維持しとこう」と思うわけですよ。その「いったん」はいつまでなんだ、という話ですが。
 
その「現状維持」を崩そうとしているのが調査兵団なわけですね。失敗を繰り返す無様な、しかし唯一の希望なわけです。
 
 
ここでポイントになるのが、今回リヴァイが言っていた「お前は本当に間違ったのか?」という問いかけ。これ…答え出るんでしょうか?作中で明かさなくても良い気がします。
(ジャンが、自分が人を殺せなかったことによって、全滅したかもしれなかったことを、反省するシーン。それに対してのリヴァイの一言)
前々からリヴァイは「何が正しいかはわからない」と言っています。
 
そうなんです、革命で一番怖いのはこれなんです。前に進んでいるかもしれないし、もしかしたら逆走しているかもしれない。最中は全くわからないんです。これが革命の最大のリスクです。「自分は正しいのか?この行動は合っているのか?」という恐怖。
 
 
NARUTOで感じた、「主人公だから失敗しないよ」感
私がNARUTOで一番感じた違和感はこれなんですよね。少年誌なので、あまりヘビーなテーマにはできないのだと思いますが。
途中ペインだったかな…ナルトが言われるんですよ。「お前だって失敗するかもしれないぞ。そしたらどうするんだ」するとナルトが「え…失敗…!?そんな…失敗なんてしたら…」とビビるわけです。
その時点で「え?失敗すること想定してなかったの?」と拍子抜けしました。成功と失敗なんて、常に隣り合わせだろうが!
そうしてナルトがガクガクしていると、ナルトの中の九尾がナルトにこう言います。「お前は失敗なんかしねえ!だから大丈夫だ!」ナルトはその言葉に勇気付けられ、元気に「うん!」と言って敵に立ち向かうのです。
 
 
こりゃひでえな、と愕然としました。失敗しないなんてわかっていたら、誰だっていくらでも挑戦しますよ。失敗するのが怖いから、挑戦が大変なんじゃないですか。
 
ワンピースもそうですが、主人公の行うことが、例え読者的に「え?」と思うような行為でも、結果的に「善」になってしまう。成功してしまう。運じゃねーかよ。
 
ナルトも少年時代は失敗ばかりのおちこぼれで、ヒナタに「それでも、誇り高き失敗者だよ」なんて言われていて、素晴らしいと思ったんですけどね。
 
少年誌のくせに、努力や挑戦における最大の克服部分を盲目的にすっぽかす。大げさですけど、これって少年の自己形成にあたって大きな害悪を与えていると思いますよ。
 
●大きなリスクを背負って、革命を起こす動機は?
進撃の巨人はわからないことだらけです。
話が進んでも進んでも、謎は深まるばかり。
そんなかで、命という大きなリスクを背負いながら、変革させようという、まさに命懸けの所業が描かれています。
 
そしてその動機づけがしっかりしている。だからこそ、ストーリーに厚みが出る。
 
今回のエルヴィンの「自分が優先すべきなのは…人か…人類か…」というセリフが深かったですね。人と人類は別なのかと…。難しすぎるテーマです。
 
とはいえ結論は、ごくシンプルな動機です。自分が死にたくない、と。
ザックレー総統という新キャラの革命動機は、面白かったですね。「もともと最高機関の奴らが大嫌いだった」という。
中には若い新聞記者のような志のある人もいますけど、基本的に一番大きな動機は「自分が死にたくない」ですもんね。そこから一気に革命が軌道にのるという展開は、説得力があるし、「決断する覚悟」というテーマ性を最大限活かしたものだと思いました。
 
 
●余談: 生命保存のための動機づけをクリアした先
先ほど、日本の政策がどうとか、個人の仕事でも、現状維持だけじゃあダメだあ、ということを述べました。しかし結局、何かを変化させるための動機は、至ってシンプルだということですね。
で、昨今そういった勇気を出しにくいのは、単純に、今、物理的に恵まれているからだと思います。これはまた別のテーマの話になってしまうので、おいおいまとめたいと思いますが、生命保存のための動機づけをクリアしてしまった場合。次は何で動機づけすべきなのか?どんな動機なら勇気が出せるのか?
このテーマはここ数年ずっと考えているテーマです。
 
 
 
●考察は次回
今回、エレンの父であるグリシャの行動が一部わかったことが、考察における大きな収穫ですね。あと、アッカーマン問題か。
 
またまとめたいと思います。