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花咲いたブタちゃん走り ●マンガ・アニメの感想・考察・レビュー●

毒舌・批判・絶賛あり。作者さんの意図とか考えを想像するのが好・き!

エヴァンゲリオン 14巻 感想 シンジ君の壮大な心の物語 物質的に満たされた中で、人は何を生きる理由にするのか

マンガ

エヴァンゲリオン 14巻 感想

うーん。あっさり終わりましたね。しかも、みんなの予想通りでしたね。まあ、最終回は予想外にするのは難しいし意味はないけど。
最後の外伝は、新劇場版のネタバレで、面白かったですね。

 

 

結局、人類補完計画が、人と人の境を無くすことによって、個人の不安や恐怖を無くすことが目的だ。というのは、かなり前からわかっていたし、エヴァが後なのか先なのかわからないけど、他漫画やゲームなんかでもよくあるラスボスになりました。

 
一見この14巻を読むと、もはやあるあるな展開ですし、「シンジが人類を救う」というユイのセリフも、一見すると宿命型主人公かよ、という感じです。
 
さーっと読むとそんな感じなので、特に感想もなし。
 
 
エヴァの壮大さは全てシンジ君の心象風景
深読みすると、「シンジが人類を救う」という表現は、正しくない。地球や宇宙を舞台にした壮大なストーリーでありながら、実際はシンジ君の個人的な物語でしかない。シンジ君は、人類を個別の存在であることを選んだのではない。噛み砕いて言えば「自殺するかしないか」くらいの話。
スケールは大きく見えますが、それは全て心象風景みたいなものです。
 
一人の、母親不在の少年が、父親にあしらわれ利用され、人なんて信じられないや。そんな風にひねくれてしまった。人に心を開けない。誰からも救われない。
そんな時に、じゃあ自分をやめるか?と問いかけられる。でも最終回でそれを選択しない。何か出会いがあるかもしれないから。
 
シンジが人類を救ったのではなくて、シンジが人類を拒絶するのをやめただけ。
 
 
ここで面白いのが二つ。
 
■20年前から私たちは、変化していない
一つは、「他人が怖い」という、20年前に登場したセンセーショナルなテーマ。このテーマが斬新で、エヴァンゲリオンは爆発的人気を得ました。
寄生獣」もそうですが、20年前から未だに、警鐘されてきた世の中の雰囲気が変わっていない。両作品とも、「自分と他人の関わり」について描いた作品ですが、「他人は怖い」という課題も、寄生獣の「自分勝手って何だろう?」という課題も、作中では答えが出ているんですが、世の中としては一切解消されていない様子なんですよね。

そこが社会の根深い閉塞感、停滞性を表しているなあ、と思います。


 
■生命保存の動機から、一歩進んだ精神的動機
もう一つは、先の「進撃の巨人  15巻感想」で書いた、「生命保存をクリアしている状態での新しい動機は?」という課題に対して、ちょっとだけ解答になっているところですね。
結局、ご飯が食べられなくて死にそうとか、家がなくて凍死しそう、などの問題があれば、人は「生きなきゃ!」という強い動機が生まれるじゃないですか。そしてその問題解決のための行動も、「失敗したらやだなあ」なんてことも考えず、必死になりますよね。
 
バブル景気なんかも、「豊かになるぞ!」という、一種の生命保存欲求があったと思われます。
 
では、今の日本社会のような、飽物の時代においては、何が生きる動機になるのか。
これはよく考えないといけない問題ですが、物や金ではないと考えられます。となると、精神の領域になります。精神的にどのような状態が人にとって動機になるのか、という点はもう人それぞれになってくると思います。が、精神とは、他人によって影響を及ぼされるものです。
 
エヴァ14巻の解答だと、「一瞬でも人と共感できたと感じられることがある。それが良い。」とシンジ君が言っていました。
正直、これだとパンチが弱すぎるのですが、確かな解答の一つだと思います。

 

ただ、それが毎日の生活を頑張るための動機になるかというと、ならないですね。
 
 
やっぱり14巻は、自殺したい人に対して、自殺しちゃいかんよー、いいことあるかもしんないよ。というメッセージどまりな気がするなあ。