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田村 由美 7SEEDS 28巻 感想 夏Bの面目躍如にならなかったのが残念

田村 由美 7SEEDS 28巻 感想

 

7SEEDS 28 (フラワーコミックスアルファ)

7SEEDS 28 (フラワーコミックスアルファ)

 

 

12/10発売。買いました。
いやなんか、クライマックス感のあるゾクゾクしたヒキでした!ちょっと残念なところもありましたが。

 

●あらすじ
舞台はラストコンピュータが眠る佐渡ヶ島。通信機器が生き残っていたおかげで、ちりぢりの春夏秋冬メンバーが、通信でついに会話を!これまでのすれ違いまくっていた面々が「え、あんた⚪︎⚪︎さんが言ってたあの人?」「その人こないだ会いましたよ」などなど伏線回収のごとき情報交換。
 
ついに嵐と花が再開するか!?
というところで終了。
 
 
●残念だったところ
面白かったけど、やっぱりストーリーないな、と思ってしまった。登場人物たちの機微を描きたいだけだから、物語構造をおおまかにおさえておけば(例えば嵐と花のような、離れ離れの恋人、など)あとは個々人の成長物語を、作者の気分で順番順番やってる感じ。
 
特に今回は、幻想を見せて人をも捕食する蜘蛛が出てきます。それで主人公クラスのキャラクター達が、それぞれ心地よい幻想を見ます。でも、自分で思い立ったり、仲間の呼び声によって、過酷な現実に意識を戻します。
 
そのエピソードが出た時、はじめは「これは夏Bの面目躍如だな」と思いました。

例えば花のような、楽しい毎日と明るい未来を持っていた人間だったら。「今の過酷なサバイバル生活は嘘。リアルなバーチャルゲームだったんだよ。これまで通りの、楽しい毎日だよ。」と言われたら。離れ離れの恋人も目の前にいるわけだし、すごく魅力的です。


でも夏B(落ちこぼれチーム)のナツは、学校にも行かずひきこもっていた。そんな現実に帰ってきたナツは、お母さんの作ったご飯、温かいお風呂、フカフカのベッドにホッとしていても、「また惨めな毎日を繰り返すのか」とゾっとします。
 
 
●ちなみに…ナツの部屋の汚さによる演出
ナツの現代での生活がいかに惨めだったのかは、ナツの部屋の汚さによって演出されています。うまいなと思いました。
とにかく汚い。よくある「雑誌が散らばって…」程度ではない。靴下が落ちていたり、スナック菓子の食べかけが床に落ちていたり。足の踏み場なく。リアルすぎてゾッとしました。笑
 
はじめはリアリティの追求?かと思いましたが、未来のサバイバルで頑張って成長したナツに慣れてしまった読者に対して、「そもそも現代時代のナツってこんなだったよ」と突きつける良い演出です。
 
ナツ自身も言っています。「未来で頑張ってきて…少しは成長できたと思ってたのに。あれは全部夢だったの?結局私は、ただの引きこもりのまま?」これはかなり肝が冷えると思いました。
 
●落ちこぼれだからこそ、幻想に惑わされない?
落ちこぼれなどと言われ、現代にさほど良い想い出がない夏B(ナツと蝉丸)だからこそ、蜘蛛の幻覚に負けず、自分たちで目を覚ます。
「落ちこぼれだって役に立つでしょ」と、ナツが自信を持てる回かと思いきや。
 
 
結局それぞれが自分で目を覚ましたのでなーんだ、と思った。(花は藤子ちゃんに起こしてもらったんだけど)
 
 
●花は今後どうなる?

状況確認シーンで嵐が「花は見つからなかった。だからまず状況確認することにした。」というシーン。嵐は泣いてるし、なんだか回想モノローグぽくて、一瞬花が死んだのかと思ってびっくりした。

そしてあのヒキだから、「まさか花死なないよね!?」と焦った。まあ、そんな後味悪いことする意味ないですけど。
 
 
ここまで来たら、花と嵐は会えるかな?と期待したいところですが、なんだかんだ、花が襲われて、走ってどこか行っちゃって会えずじまいなのかな。
花は嵐と通信繋がってること気づいてないし。また、助けに来たのが藤子ちゃんとちさちゃんという通信機器の存在を知らない2人組、というところも、そのまますれ違いフラグのような気がする。
 
 
●そろそろ終わるのか?
終わりの無い作品なので先が見えない。もともとどうやったって、現代の暮らしを突然奪われて未来でサバイバルさせられてる状況を、ハッピーエンドとは思いにくい。ただ、今回この蜘蛛を使って、それぞれに、この未来の世界の自分たちを肯定させていた。現代に戻ることよりも居場所や経験の価値を持たせていたので、終わりも近いのかな?と思わなくもない。
 
もともとBASARAだって男主人公をあんな悪人してしまっては、償わせないといけない。でもやはり償っているシーンは悲痛で、手放しにハッピーエンドとは言えない終わりだった。その後読み切りでキャラクターのエピソードを一つ一つ消化していったので、ハッピーエンド感がようやく出たが。
7SEEDSも各キャラごとのエピソードやって終わりにする感じかな。