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花咲いたブタちゃん走り ●マンガ・アニメの感想・考察・レビュー●

毒舌・批判・絶賛あり。作者さんの意図とか考えを想像するのが好・き!

何もないけど空は青い 1巻 感想 原作 西森博之  作画 飯沼ゆうき 面白い!

マンガ

何もないけど空は青い 1巻 感想

西森博之原作だというので買ってみた。
 
結論。すっごく面白い!!しょっぱなから泣きましたよ、わたしは…。

 

西森博之の作品に共通するスピリッツ

今日から俺は!」と「天使な小生意気」は名作中の名作だと思うのですがその後の…「道士朗でござる」「お茶にごす。」「鋼鉄の華っ柱」は、応援したい気持ちがありつつも、なんだか今日俺と天生の使い倒しのような感じがして、あまり入り込めませんでした。

 
というのも、掲げた5作品全てに共通するスピリッツ。
「すっごい極悪人にズル賢く脅された場合、屈するしかないのか?いや、そんなんダメだろ!!真面目にやってる奴が損をするなんて、そんな理不尽なことは俺が起こさねえよ!!」
 
つまり、極悪人が出てくるんですよ。
どの作品も。
 
もともと「たまーに熱い系ギャグ漫画家」だったのが、今日俺で目覚めてしまったんでしょうね。
 
で、その極悪人が本当にドン引きレベル。女子供を人質にとって脅すといった…。

屈するしかねえよ…そんなやばいことされたら…。

 
■平和な日常に突如現れる極悪人の違和感

ようは、今時そんなやつ、いるんだろうけど、なかなか普通はいないですよ。んな暴力的な犯罪者は。てゆうか犯罪者だからさ。警察沙汰だよ。なんで主人公、一介の高校生が巻き込まれちゃうんですかと。

 
だから、読んでて違和感あるんですよね。ウシジマくんじゃああるまいし、ただの高校青春ストーリーにそんな極悪人出てくるの。世界が違いすぎるというかさ。
 
今日俺は時代が時代のヤンキー漫画なんで、多少キレた奴がいたとしても、「ああ…まあいるわな」みたいな気がしないでもないんですけど。(わたしは世代違うんでわかりませんけど。笑)
 
天生は、主人公が財閥の娘なので、金持ち界のアウトローな世界に巻き込まれたというのはギリギリわからんでもなかった。あともともと犯罪ごとに顔を出す(止めようとする)、人離れした性格の持ち主だからかな。
 
それでも、随分やりすぎ感ありましたよ。笑
 
キャラクターが生き生きしてたから面白かったですけど。
 
 
でも二作やっちゃうとパターン入っちゃうのかな。道士朗の頃には「もういいかなー」みたいな感じになっちゃって、「お茶にごす。」もなんか三橋みたいな設定だなあ…てなって、鋼鉄に関しても「説教くせえ」と思って読みませんでした。
 
 

今日俺と天生はわたしの人格形成に大いなる影響を与えた人生のバイブルですから、作者の西森先生にはずっと面白い漫画を描いていてもらいたい!と思っていたものの。

 
ワンパターンさと説教くささで脱落してしまいました。
 
 
■「何もないが空は青い」もテーマは同じ
長くなりましたが、でもこの作品!「何もないが空は青い」!
また説教くせえタイトルだなあと思いましたよ!
実際内容は、同じだよ!
 
ヤベー奴が女子供人質にとって主人公脅すっていう。
 
でもめちゃくちゃ面白かったよ!!
 
 
■違和感のない理由
まず、「ドン引きレベルのヤベー奴が表社会に出張る違和感」
これについては「隕石が落ちてきて社会の秩序崩壊」というトンデモ舞台設定によってクリアー。むしろ、こんな緊迫した状況でも、道徳的であることは、間違いじゃない!とすごく励まされます。
 
 
次、「説教くささ」
これについても、主人公は覚悟した上でずっと悩み続けてるし、やっぱり社会秩序が崩壊しているという舞台設定のおかげで、「主人公の個人的な、信念の問題」という感じがしてやかましくない。
 
 
この2点がキレイに解消されているので、あとは西森節を心置きなく楽しむだけです。
 
・出ました、究極の女。
言うことなす事、かっこいい、たまに抜けててカワイイ。
 
手書き文字のセリフ。
 
・ところどころギャグとシリアスが入れ替わる、独特の構成。でもそれがメリハリきいて読みやすい。
 
・妙に言動がリアルなモブの人々。社会。
 
 
 
人によっては全然つまらない漫画なんじゃないかなと思いますけど、わたしは心にガンガンきちゃいます、こういうの。
 
どんな理不尽な状況においても、屈したくないもの!道徳的、倫理的に、胸をはっていられる人間でいたいもの!それでちょっとくらい損したとしても。ズルするような奴は許せないし、許されて欲しくない。
 
そんなふうに思ってはいるけど、私なんかがそれでいられるのは、平和な小さな世界だからこそ。私がこれまで、たまたまラッキーに生きてこれただけ。
 
アウトローな世界で本当の理不尽に巻き込まれている人を、助けることもできなければ、自分がその身に落ちた時、暴力に屈し、時には他人に理不尽な加害をしてしまうかも…してしまっても全然おかしくない。
 
 
でも諦めたくないんだよね。世の中そんなもんだ…なんて。
 
実際その時がきてみないとわからないけど、少なくとも葛藤できる人間でありたい。想像力を失って、暴力や人を陥れるような選択を、迷わずしてしまうような人間にはなりたくない。できたら、はねのけられるような、勇気や強さを持っていたい。
 
青臭いですけど、そういう思いに対して、勇気をくれる漫画家さんです。10年以上ずっとこのテーマを描き続けてるんだから。

その素晴らしいテーマを、違和感なく表現できる作品があって良かった!

 
西森離れしてしまった方、久々に買いですよ!!
 
 
 
 
⚫︎余談
しかし、今回作画は別の人なんですけど、改めて、変わったコマ割りというか、構成ですよね。フキダシの使い方とかもそうですけど。西森絵が思い浮かびます。作画の人も、ずいぶん似せてますよね?もともとこういう絵の人なのかな。