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花咲いたブタちゃん走り ●マンガ・アニメの感想・考察・レビュー●

毒舌・批判・絶賛あり。作者さんの意図とか考えを想像するのが好・き!

百年法(上)(下) 山田宗樹 感想

 

百年法 上

百年法 上

 

 

 

百年法 下
 

 ■あらすじ

不老化が実現した世界。ただそれだと社会が新陳代謝しなくなってしまうので、不老化治療から100年たったら安楽死させるという「百年法」。それを可決するか否決するか。国民や政治家の考えを描く作品。

 

設定は抜群に面白いけど、登場人物にリアリティーが欠けるのと、ストーリーとしてはあまり巧くなかったかなあ、という印象。

 ■登場人物にリアリティーが欠ける

まず主人公が誰だかわからない。「群像劇」と評されていたけど、主人公なのかよくわからん人物が5~6人いて、だれに焦点を合わせればいいかわからないまま、上巻が終わる。主人公が不明な分、盛り上がりがない。そしてそれは最後まで読んでも同じだった。

リアリティーが欠けるなあ、と思ったのは、登場人物たちの会話内容や考え方。作品自体のテーマの1つが「便利すぎるのは考え物」といったものだと思うのですが、だからか、考え方が古臭い。20代の外見のまま70年とか生きているのに、「親友と呼べる人がいない」なんて言っていたり。会話が昭和かよ、という内容(「あんた、それって嫌味?」笑顔で「はいっ。」「もう、このやろっ」「キャアッ。アハハッ」みたいな)だったり。

途中自殺者が大量に発生するシーンもありますが、「え?なんで死ぬの?」って感じ。

恋愛発展シーンも積み重ねがなく唐突なのに、「読者の皆様は想像がついていたでしょう」的な書かれ方をされるので、「どこにそんな伏線あったっけ?」という箇所がいくつもあった。

 

また、最終的には主人公であろう男がいるのですが、彼は不老化手術を受けなかった。でもその理由もいまいちわからない。

 

なんか、作者が、「人間ってそういう気分になっちゃったりするもんだよ」みたいな曖昧さで、人間心理の表現を回避してしまっている気がする。

 

■ストーリーの上手くないと思うところ

わりと政治的な部分が大きい作品。群像劇と言われるだけあって、テロリストが出てきたり、いろいろするんですが、特に誰の行動も何の影響も及ぼさなかった部分。

「下降現状に対して、判断して、手を打とう」というのが大きなテーマだと思うのですが、政治家は結果的に何もできなかったし、テロリストも失敗に終わった。民間人で何かしようとした人もいなかった。

カタルシス、山場もなく、なすがままに翻弄されただけの人々。

これまでの物語って何だったの?というのが正直な感想かなあ。

 

設定や、それを活かした舞台構築は良かったんだけど、それが物語に活かされなかった。そこが残念だったなあ。

 

まあ人によって感想違うんだろうけど。「号泣した」とか「生きる意味がわかった」と言っているコメントが帯にあったけど、素でどこにそんなに盛り上がるシーンがあったろうか。あったんだろうなあ。