花咲いたブタちゃん走り ●マンガ・アニメの感想・考察・レビュー●

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悪の教典 (上)(下) 貴志祐介 感想 素晴らしい胸糞作品

 

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

 

 

 

悪の教典〈下〉 (文春文庫)

悪の教典〈下〉 (文春文庫)

 

 悪の教典 (上)(下) 貴志祐介 感想

 

■いわずもがなのあらすじ

サイコキラーが高校教師に…。都合の悪いものは全て殺して解決。最終的には大惨事に…。その周到なさまが売りの人殺し小説。

 

うーん面白かった。極端が極端にいっちゃうと、こうなっちゃうんだなあ。

 

正直、貴志祐介は一番好きな作家かもしれない。(そのわりには今さら「悪の教典」読んだのですが)高校の時に読んだ「青の炎」なんかは大号泣だったし、アニメから入った「新世界より」も素晴らしかった。実は一番好きな作品は「天使の囀り」。これはもう…素晴らしい。とにかく。デビュー作の「ISOLA」も好き。

ランキングにすると

 

天使の囀り

新世界より

ISOLA

悪の教典

青の炎

クリムゾンの迷宮

黒い家

その他

 

みたいな感じかな。そんなわけで「悪の教典」は4番目くらいですかね。

 

 

■面白かったところ

・主人公の理屈が勝手すぎて逆にリアリティがあったところ。

女生徒を性奴隷にさせておきながら「女としての悦びを与えているのだから感謝してほしい」とか。

自分の両親が「息子は殺人者だった…警察に通報するしかない」なんて相談してたら殺しちゃって。「親の苦悩を解放してあげるのは、慈しみ。愛情。子供としてできる、最後の恩返しなのだ。」とモノローグするところなんて、笑ってしまいました。

客観的にみると可笑しいんだけど、人間のモノローグなんてつくづく自分勝手で自然なものかもしれない。

 

・細かい描写

リアルな描写がすごいのが貴志祐介。殺害シーンの細かさや心理学解説は毎度のものですが、今回「アメリカの経済学用語」や「アメリカンジョーク(英語を使った韻をふんだダジャレなど)」が多数頻出していたところ。

しかも、「登場!」と言わんばかりの登場ではなく、主人公のセリフにユーモアにはさまれる程度。さりげなくだけど、それがまた登場人物のリアリティさを醸し出している。

さりげない程度、ということはネタ自体もさりげない、ということなんだけど、それはやっぱりさりげない時に思いつくわけですよ。さりげなく。(ゲシュタルト崩壊

 

作者は英語できるのかな?ふつうに取材していて、ダジャレなんてそう言ってくれるものでもないと思うし。不思議だあ。

 

・ラストの胸糞さ

いやー胸糞な話です。あまりにも理不尽。

序盤はだいたい被害者が種をまいてるのでまあわからんでもないんですけど、まじめな数学教師の真田先生頃からなってくると、「まっとうに生きてるだけじゃないか…」という完全に被害者。防ぎようがない。後半は無実の被害者オンパレード。

そしてラストの一言。まさに現代悪!

しかし作品としてブレないところがいいですね。性善説で生きていると、性悪にあっけなくやられるぞ、という。

 

 

最近の新作はいまいちなので、またこういう衝撃的な作品をバンバン書いてほしいです。