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花咲いたブタちゃん走り ●マンガ・アニメの感想・考察・レビュー●

毒舌・批判・絶賛あり。作者さんの意図とか考えを想像するのが好・き!

名香智子「マダム ジョーカー」1-15巻 感想 作者いわく「女性が気持ち良くなるマンガ」女性向け水戸黄門的マンガ。

名香智子「マダム ジョーカー」1-15巻 感想

 
いや面白かったんですよ。
でも私が大学生の時は面白いながらも、「勧善懲悪すぎてテーマ性が低い」と離れてしまったのですが。
こういうのが面白いと思ってしまうなんて、私も疲れてるな…いや、ババアになったのか…。
 
4巻まではリアルタイムで購入していたのですが、そんなわけで最近で5-15巻を一気買いしてしまいました。
 
 
◼︎あらすじ

40-50代女性向けのレディース?漫画。

作者は豪華絢爛な貴族とか金持ちの道楽的恋愛や、情や金の絡んだミステリーの名手。
本作はラブコメディ的タッチが強い。
 
主人公は二児の母、月光寺蘭子。40歳。
娘と息子は18と16くらい。若くて美しい母。

家は月光寺財閥という日本トップクラスの財閥。

だから3000万円くらいはポンと見知らぬ人にあげてしまっても、痛くも痒くもない。
 
主人公の蘭子さんは、決して人格者ではない。

超絶美人だけど金髪で派手で男好き。

とはいえ無自覚天然系なので、わざと人を傷つけたりするようなことはしない。
だから周りの人からは好かれている、というか
短所も長所もきちんと家族からは受け入れられている。

 

 
が、見知らぬ人間からはそうはいかない。
美貌に嫉妬されたり、金に目ざとい人間からは利用されたり…。
あるいは身近な友人がトラブルに巻き込まれていたら、金と権力でまるっと解決。
そんな人間の醜い部分を金持ちゆえのカジュアルタッチでコメディ風に解決していく「事件モノ」…とでもいいましょうか。
だいたい1話完結です。
 
 
◼︎本作は「女性が読んで気持ちいいもの」を目指したらしい
 
何巻だかの巻末インタビューに書いてありました。
まさしく、私が大学生のときに感じた「テーマ性が低い」という指摘は、作者が意図的にやっていたようでした。
 
名香智子はもともとエロ好きなのか、だいたい美人または美男子が現れて、美貌と肉体の虜になってなんやかや、という展開が出てくる。

ついでに女性作家とは思えないくらいお下劣な作品なんかもある。(宇宙人が地球人と交尾しに地球にやってくる。主人公19歳は宇宙人のテクニックにメロメロ。とか。完全にただのエロ漫画。)

 
代表作の「シャルトル公爵シリーズ」も基本下世話だ。
後半の次世代編こそ若者の悲劇的恋愛や倒錯的関係に、上質なメロドラマが発生するものの、前半は女主人公がレズのセックス好きなのでてんやわんや。かなりお下品。
 
それでも、貴族ゆえの、「物質的に恵まれすぎている」ゆえの憂鬱が、なんだか我々の日常とはかけ離れていて、考え方もゆとりゆえに哲学的だったり、とにかく作者独自の思想や世界観が徹頭徹尾描かれた名作だと思うわけです。
 
 
ただ、「マダムジョーカー」は。
悪者が出てくるんですよ。
例えばオレオレ詐欺をやってる人間とか、美貌の主人公に嫉妬して悪質な噂を吹聴する人間だとか…。毎回ですよ。ワイドショーに出てくるような悪人。
それを毎回主人公がぶった斬る、という。
もう昔ながらの日本の伝統、水戸黄門ですよ。
 
なので大学生のわたしは、「シャルトルシリーズにはあった独特の哲学性が、マダムジョーカーにはない。ただの思考停止した下劣なヒーローモノだ」と判断したわけです。
 
 
ただ、それは作者が意図的にやってたというんだから、難しいものです。
まあもともと作者はそういう悪者を出す思考性の持ち主なんですけど。
 
(わたしは典型的な悪者が出てくる話って、基本的には好きじゃあないんですよ。

突き詰めた悪が出てくるのならそれはそれで良いのですが、典型的な悪者が出てくると、物語上の不具合が全て悪者のせいになってしまう。

主人公が自力で解決するのではなく、悪者が自業自得になるだけっていう。
そうなるとテーマ性としては弱くなるじゃないですか。)
 
 
そこで、「女性が気持ち良くなる作品」という表現に、なんだか強烈な納得をしてしまいました。
わたしはまだ若かったから…、まだ学生の子供だったから、「物語にはテーマ性があってしかるべき」と考えていたし、それはそれで間違いではないのですが、
「エンターテイメントコンテンツには、コンセプトは不可欠であってもテーマ性やメッセージ性は必須ではない」ということです。
 
まあ当たり前っちゃ当たり前なんですが。
シャルトル公爵シリーズがあまりにも素晴らしい塩梅なので、ハードル上がっちゃってたんですね。
 
で、思考停止中のババアとか、私のように疲れて現実逃避したい人間からすれば、テーマ性の高い作品なんて疲れちゃったりもしますから、水戸黄門がちょうどいいんですよ。だから実際5-15巻まで一気買いしちゃいましたからね。
 
で、一応どのへんが「女性が気持ち良くなる」のかというと、自分が見下せるレベルのバカな小者が出てくるところ。醜悪な心の持ち主は顔に出てしまうこと。悪者は最終的に自業自得になること。主人公の旦那さんは、主人公にメロメロな金持ち美男子であること。
このへんですね。
 
 
◼︎面白いところ
 
やっぱり、キャラクターたちの難しい関係が面白いです。今はアラシくんと蘭奈ちゃんの関係がどうなるのか。藤原さんも再婚できそうでよかった。
 
 

そんなわけで、女性であれば暇つぶしにはピッタリ。男性は嫌悪するかもしれません。

 
ジュディーコミックスなどのレディース?コミックは、確かに女同士の悪口みたいなテーマ性の低い作品が多いなー、昔は名作かいてた作者も年とるとそうなっちゃうのかなー、と思ってましたが、編集部側がそれを要望してたんだなーというのが分かって、ちょっとスッキリしました。