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花咲いたブタちゃん走り ●マンガ・アニメの感想・考察・レビュー●

毒舌・批判・絶賛あり。作者さんの意図とか考えを想像するのが好・き!

お茶にごす。 全9巻 西森博之 感想★優しさとは何か、喜怒哀楽をキャラクターごとにあてはめてる?

お茶にごす。 全9巻 西森博之 感想
なぜか名作と名高い。
いや、名作だと思うけど、他のも名作じゃん?
今連載中の「何もないけど空が青い。」だって名作だと思うけどなあ。

※余談
「何もないけど空が青い。」の4巻が2月に発売されましたが、
大きな本屋何件もまわっても見つからなかったんですよ!
もう、「発売日間違えたのかな?」と思ってたくらい。

結局大井町のアトレの有隣堂で新刊コーナーにすら置かれていないのを見つけたんですけど。くそう、なぜなんだ…。



■あらすじ
最凶の不良高校生・悪魔(デビル)まークン、こと船橋雅矢。
たしかに彼はケンカは強いし、顔は強面ですが、
別にケンカが好きなわけでもなく…、

実は「優しい人になりたいなー」と思っていた。

そんなまークンが、
親友のヤーマダ(山田)と一緒に、茶道部に入ることに。

まークンが優しい人になるために、
優しいとは何か、どうしたらなれるのか、
恋をしたら優しくなれるのか、
でも不良にはからまれる…


というケンカありの文化系コメディ。



■良いところ

★テーマが深い。

「優しいってなにか。」これ、つきつめると人間として最強だと思うんですよ。私の持論でもありますが、優しいと賢いと強いは全てイコールなんですよ。

でも普段、「優しいってなんだろう」なんてこと考えないじゃないですか。

東野圭吾が昔エッセイで「悲しいと可笑しいは近い」と言っていたんですけど、この作品の肝は、「哀しさ」なんじゃないのかな~~という感じはしますよね。


優しくなりたいのに、顔がコワくてケンカが強いから「デビル」なんて呼ばれているんですよ。噂になっちゃってて、人が寄り付かないんですよ。

でも本人としては、「知らない人に道聞かれて答えるような、普通に親切ができるような人になりたいなー」って思うような健気な子なんですよ。
普通に考えたら、悲しすぎて涙出てきますよ。


この健気なもの哀しい主人公が、この作品の肝で、

切なさに心がギュっとしたり、
でも笑えたりする、そういう作品なのかなあと。



★喜怒哀楽をキャラクターごとにあてはめてる?

作中でも、こんな会話がありました。

「心がないと優しくできない」
「心ってなんだ」
「心ってのは調べてみると喜怒哀楽らしい。」
「優しいってのは、喜怒哀楽のどこに属するんだ?」
「全部でしょ。」
「じゃあ、優しい喜び優しい怒り、優しい哀しみ優しい楽しみなのか?」

私もこれを読んで、アレ…わかんない。と思いましたけど。


「喜怒哀楽」は「心」ってよりは「感情」ですよね。
で、「優しい」は「気遣い」ですよね。
「気遣い」ってのは「想像力」。
「想像力」には「感情」が必要ですよね。

だから優しさには感情が必要。
でも感情だけじゃなくて、賢さや強さがないとなりたたないのが優しさ。


まークンは感情、賢さ、は乏しいけど強さはある。
カホちゃんは感情の中でも怒りが特に強い。
チカちゃんやアニ研の人々は思慮深いけど強さが足りない。

ヤーマダ君は…どうなんだろう。バランスいい気がするけど。
でも、「楽」よりだよね。

部長(茶道部部長、雅矢が好きになってしまった学園のマドンナ)は腕力はないけど、芯の強さ、人と違うことをできる強さ、人を思いやれる賢さ、優しさがあるなあと思います。


みんな、優しさのカケラがあるけど、いろんな何かが阻害していたり、気付いていなかったりで、優しくできていなかったりできなかったり、優しくしているのに気付いていないだけ。


喜… 部長?(ヤッター!みたいな喜ではなく、慶、に近いのかな。世の中のいろんなことを祝福というか、ちゃんと味わっているような人だと思う)

怒… カホちゃん。

哀… まークン。自分の哀しさに気付いていないのがまた哀しい。でも「悲しい」ではなく「哀しい」には、「愛しい」みたいな意味がありますからね(たしか)。

楽… ヤーマダ。



★ヤーマダとカホちゃんがいい。

自分も喜怒哀楽で言ったら「怒」の人なので、瞬間的にカーンと怒れるカホちゃんとヤーマダはすごく好き。しかもヤーマダはカホちゃんが好きなんですよ。すごくうまくいってほしかった…二人の今後をちゃんと見たかったよ。

それにしてもヤーマダはかっこいい。
一番好きなシーンは死神フクベくんの親は教師なのに騙されて万引きの共犯にされてゆすられる回。
はじめは「お茶飲んで話し合いだよ~」とか言っていた山田君が、ゆすってるヤツの侮辱発言にキレて、いきなりガーンと蹴り飛ばす。

雅矢「おまえ、お茶はどうしたんだよ。」
ドボドボドボ
山田「起きろ。」
雅矢「これがお茶!?」

おまわりさん「何やってるー」

山田「ヤッベーズラカレー!」

の5コマ(かな?)のテンポがすごく好き。


私は西森博之のこういうテンポとオチャメ感がすごく好きで、これでギャグ漫画かきはじめたんだったなあ、というのを思い出した。



■なんで途中のような展開で終わってしまったのか。

2012年の「オトナファミ
西森博之画業25周年特集インタビューに書いてありました。
(わざわざとりよせて読んだ)

打ち切りなんて噂もありましたが、
目が悪くなって納得いく絵が描けなくなってきているらしい。

編集部からは続けてほしい、という話もあったが、断って終わりにしたみたい。あ~~残念だ。ほんと、ヤーマダとカホちゃんの話を見たかった…。はああ。



■一番の名シーン
「ちょーだい。」
「夕陽。」

のところ。ネタバレだ、これ以上は言えない!

この素晴らしい話を是非みなさん読んでください。
そして、「何もないけど空は青い。」の発行部数を増やしていきましょう。
お願いします。